英語版の世界設定集も発売された記念に。
ここだけに置いておきます。
世界観設定資料集記念に💡
記念日
※クラジル
若干ED後を含めますが、色々ぼやかして。
こちらはサイト内にはまとめないでここだけに置いておきます。
お互いが生まれた日と同じくらい。
それ以上に大切な日が互いの心に刻まれている。
君がロザリアに初めて来た日。あなたとジョシュアに出会った日。
引き裂かれ離れ離れになり。そしてもう会えないと思っていたのに巡り合えてーそれが世界の理の謀だったとしても“会いたい”と思うことさえ諦めていたのだから想いは溢れひとしおだった。力強く彼に抱きしめられた。
ハンナ様ーマードック夫人の馬小屋にて月を見ていて彼女は隣に寄り添うメティアをその瞳に語り合ったあの夜。
シドが亡くなったあの日。同時にジョシュアが生きていたと知った。
インビジブルを見つけた日。ジョシュアと再び会えて青空が覆われた。
それでもこれからはまた3人で居られると…。
君を人へと戻し愛する人として共に生きていくと誓った日。
弟の己の名を呼ぶ声から自らの生き様を貫きこの身をもって不死鳥の盾とならんと、そう誓った。
そして。
神話の舞台は終焉を迎えた。
人の歴史へと移る。エッダの子供はその始まりだった。
ことり、とストラスの羽ペンがテーブルに備え付けられたペン台に戻された。
「お疲れ様」
優しくシーツをその両肩を包み込むように掛けて。
使い物とはなりにくいとはいえ、彼が確かに人にもどった証でもある石化した左手は彼女のお腹の中心にある石化と同じくストナ草で痛みを和らげその葉を細かく溶いた温かいお茶をジルが用意してくれたのだ。
ありがとうと利き手でカップを持ち上げ頂くと体が芯からほぐれるような心地よさがある。ジルが椅子に腰かけているクライヴの背にそっと寄り添う。
「…私も、忘れられない」
「忘れられないだけじゃ、ないんだ」
痛みと悲しみはこの世界でまだ続いていく。それは避けようのない現実。
その節目節目で。確かにあったのだ。憎むことや退けたり、抗う為の戦いだけでない。
愛する意味も、喜びも、生きることへの自ら沸き起こる肯定が。
遠いこのヴァリスゼア世界では、魔法そのものはもう御伽話として忘れられていくだろう。その世界を、確かに望んでいた。
舞台が変わればここで生きていた人々も、共に。忘却の彼方へとなる。
自分たちは忘れられない、忘れたくない人たちが。
「遠い未来になって…忘れ去られたとしても」
「…見つけてくれるわ」
あなたが、私を見つけてくれたみたいに。
「…約束も、必ず」
このヴァリスゼアが他者を食い尽くすのでなく、誰かの為にーその人を見出して生きていく地となった暁には。
「あなたと、ふたりで」
“外大陸へ”
「トルガルも一緒だ」
“この運命に打ち勝ったのなら”
また旅をしよう。
「…ジョシュアもそう望んでくれているわ」
「…書き残したかったはずだ」
すべての真実を残せるわけでない。
それは人には不可能だ。だからこそ、探求の旅は続く。
あなたをトルガルと見つけたみたいに。ミドがミスリル機関へのヒントを宝探しみたいに本当に必要な人が探し出す為に残した様に。
誰かが必ず。
“見つけるから”
本を書き終えたその日も、ふたりにとっての記念日として幾度も巡っていく。