色んなキャラクターで。ほのぼのとシリアスより。
別れの予感(エルとテオ)
ボクラド市場にて新たな協力者、エルとテオの協力を得たクライヴとジル。
テオ「お前の乗っている馬(チョコボ)のことなんだが」
クライヴ「アンブロシアか?どうかしたのか」
テオ「ゴブリン族の依頼の時と同じでそっちもメスなんだよな。同じく群れを率いていたと。いや、ここの馬(チョコボ)たちはオスが多いから…」
ゴブリンプリンスセスと呼ばれる集落を形成している女王のことを思い出す。
そこで友好関係を結んだ男のことも。
魔物が黒の一帯の影響で人々が暮らしている村や街にも被害が起きていると各地でも問題にはよく上がる。魔物たちも生きる為に必死なのだ。
馬(チョコボ)で駆け巡ると人にすぎ敵対心を向けるものも居ればそうではないものも存在していると気配で分かる。
そうした被害を収める為にも黒の一帯―それを引き起こしている元凶であるマザークリスタルの破壊は急がなければならない。
クライヴ「…引き合わせたいのか」
テオ「いますぐどうこうしようって訳じゃないさ。ここで働かせる以外にしっかりと他の世話もしてやらないとな。それが馬(チョコボ)を預かる者の務めでもある」
クライヴ「自治領へ向かうにはまだ少し猶予はある」
テオ「お前の馬(チョコボ)ならお前がいるとそっちに気が向くんじゃないか。ここは姉貴に頼んで―」
ジル「そういうことなら、私もエルと行くわ」
クライヴ「ジル、頼む」
一頭のオスチョコボを連れて行くエルとジルの後ろ姿を見送りながら—。
テオ「ここの馬(チョコボ)たちは入り口付近で世話している奴のところで産まれた。言ってしまえば家族だ。他の行商人にも買われて、それぞれ貰われていったのもいる。
きょうだいでも、別れは必ず来るんだよな…」
クライヴ「‥‥‥」
噂
ザンブレク皇国、オリフレム地下―。
マザークリスタルドレイクヘッド目前、神殿付近にてー。
上層階に空いた大穴を3人とトルガルは眺めながら。
シド「バハムートのドミナントとかち合ってよ。あそこに大穴開けて逃げ切ったんだ」
クライヴ「召喚獣同士に力の差はほとんどないと言われているが…良く逃げ切れたな」
シド「ザンブレクは竜を崇拝の対象として掲げる。女神グエリゴールの影響なのか竜騎士団は殆ど槍だ。中には魔法や剣の奴もいるが…向こうが長物で穴に引っかかって手間取ってた隙になんとかな。戦場では信頼出来る部下に槍を預け受け取ってから出陣をすることが多い。そうした習わしでは想定外の事態で穴の大きさが咄嗟に頭の計算に入らなかったんだろう」
クライヴ「成程。ロザリアでは剣を突き立て敬礼を行なうから他者に預けたりはしない。ウォールードにも何かあるのか」
シド「さあ…これと言ったものはな」
クライヴ「…ああ、ジルすまない。先を急ごう」
ジル「…ううん」
クライヴ「‥‥?」
シド(さっきこいつが俺を助けた時もちょっと柔らかくなっていたな…)
「さて、バハムートのドミナントほどではないが、これから先は厄介なお相手が続くぞ。ふたりとも、いいな」
その頃、オリフレムから自治領へ軍を仕掛けようとする竜騎士団と皇国兵の中―。
ディオン「…っ」(小さいくしゃみを抑える)
テランス「寒いのですか、ディオン様」
ディオン「いや、余…よりも何やらバハムートのことで噂されているような」
テランス「オリフレムに残った皇国民でしょうか。
戦地から戻られたディオン様が皇都からすぐに姿を消し―…今は我々と共に自治領へと向かっておられる…」
ディオン「生まれ故郷を離れていくのも離れられないのも、どのような心境なのだろうな…」
(ザンブレクの人たちは、自由なのか―?)
クリスタルの麓の神殿へ忍び込んだ賊からそう問いかけられた。
あの場所が民の為にもそやつに利用などされなくて良かったと今でもそう思う。
だが、あの問いにこの戦いへ向かっている自分がすぐ答えられるのだろうか。己の心に染みが出来たような感覚が付きまとう。
テランス「私はどこへでもお供致します」
頷くディオン。
ディオン(この槍を預けるのもそう遠くない日に終わりがくる…)
「噂自体は別に悪い事ではない。誰かの記憶に留まっている」
テランス「根も葉もない悪意でしかないのであれば、傍に居る私が真実を語ります」
ディオン「テランス、感謝する」
マザークリスタルドレイクヘッド。コアの部分を眺める3者とトルガル。
シド「これからやることは噂では収まらん。歴史、だな」
ジル「名を残すのね。大罪人と呼ばれても」
シド「悪くない人生だろ、お前はどう思う」
クライヴ「言ったはずだ。信じるさ」
・3人寄れば(バイロン叔父さん)
インビンシブル内、ハルポクラテスに頼まれ図書館へ本を返しにいくお手伝いをしている双子のテトとクロ
テト「3人が良かったかなあ」
クロ「ハイデマリーに声を掛けてみようか」
バイロン「おお、重たそうな本だな。大丈夫か」
テト「あ、クライヴのおじさん」
クロ「シドのおじさん」
テト「おじさんはきょうだい何人?」
バイロン「…兄がおったのだがな…。何故そのことを?」
クロ「あ、じゃあふたりなんだ。この間そこのテーブルにジルとミドとせんせい(ヴィヴィアン)でおちゃかいって言っていたかな、それをしていたら男の人たちがちらちらとここを通るたびに見ていて」
テト「みんなにこにこしていたんだ」
バイロン「‥‥ふむ」
クロ「びじんが3人そろうといいなってだれか言ってた」
テト「クライヴとジョシュアと、りゅうきしのおうじさま(ディオン)もおんなじだったね」
クロ「そこのハッチ、ってミドが言ってた近くにおうじさまよくいるから」
テト「ふたりが近づいて3人でおはなししていたら女の人たちも同じようにながめてにこにこしていた」
クロ「3人がそろうといいわねって。だれのよこがおがすき?とかそう言ってた。みんな3人が良いんだなあってそう思ったの」
バイロン「なるほど…」
ベアラーであることが発覚したルボルを助けようとインビンシブルから出発の準備をしているクライヴ。
バイロン「クライヴよ、ひとりで行くのか」
クライヴ「トルガルも一緒です。アカシアのこともありますが、こちらから石の剣を割くより奴らに対抗出来るようルボルならダリミルを纏められるはずだ。
今回俺は手助けに回る方が良い」
バイロン「癪に障る若造ではあるが、賢いとは思っておる。
留守の間はわしにふたりを任せなさい。虫がつかないようにしておくぞ」
クライヴ「?」
Make
(拠点の皆)
何かを作り出すのは特別なこと?
それとも大変なこと?
テトとクロがハルポクラテスの書斎で元気に走り回るようになってから—それはこの新しいインビンシブルと呼ばれる拠点が5年の時を経てようやく形となり、石の剣の部隊も揃った今だからこそ出来るわけで―ぴたりと双子が止まったかと思えば矢継ぎ早にハルポクラテスに教えてとせがんで来た。
「ほう、良い質問だね。どうしてそう思ったのかまずそれを教えてくれるかの」
小さい子どもの好奇心は旺盛だ。人と“ベアラー”の夫婦の間に産まれて来た双子たち。
この双子の両親の命はフーゴが顕現したタイタンによって奪われた。幼かったとはいえ、庇護してくれる存在がいないというのは大きな傷となったはずだ。よくクライヴを含めこの拠点の大人たちの腕の中で眠れない夜は涙を流しながら彼らにしがみついて過ごしていた。心の傷が完全に癒えたわけではないだろう。それは頬に刻印を産まれてからすぐに入れられたもう少し大きいミドを先生と慕っているあの子たちとて同じだろう。とはいえ、忙しく働いている周りの大人たちがしっかりと生きている様子を目の辺りに出来るのはこの子たちにとっては良い環境となっている。
「バードルフおじさんのお弟子さんたち、船が傷まないように毎日しっかりと打ち込んでいるんだって教えてくれた」
「カタチになっていくのは面白いって。でも日が暮れる頃にはくたくたなんだって」
「確かに。ここも見つけてから今の形になるまで随分と時間が掛かったのは覚えているかな」
双子がうん、と合わせて頷く。
「疲れた後にエールやごはん食べると美味しいって言ってた」
「おじさんが前のおやかたさん?と一緒に同じこと言ってたって」
顔を見合わせながらひとつひとつ。拠点で過ごしている彼らの話を復唱しながら思い起こし。そうしてここで起きている人の生きかたそのものを双子たちは彼らなりに心に染み込ませているのだとハルポクラテスは感じ取った。
「なら、テトとクロ。ふたりとももう分かっておるな」
何かを作り出すのは—。
「「大変だけど、楽しい」」
「ふたりはどうかね。何かを作りたいかい?」
「作るのも楽しそうだけど。ハルポクラテスのお話はもっと楽しい」
「おお、そうか。では今日は—…」
後に師であるモースの才を受け継げるのではないかと思うほど才能があるジョシュアがこの書室に加わり。語り合う相手が増えた喜びがそこにあった。
“記すのかね”
“新たな…本当の意味で人の歴史が始まる”
人が人でいられる世界を作り出すという、兄の悲願と共に。
イヴァンに大工仕事を引き受けて少し手伝ってみたのですが…どうやら僕は力が足りないみたいですと相談を持ち掛けられた。
イヴァン自身に特に話したりはしていないのだが。俺が少年の頃、りんごを拾った相手であるベアラーに彼は似ていた。ふとそのことを思い出し。
調理もなかなか体力はいるが。モリーと相談してみる。
彼女と協力し合いながらケネスが作ってくれた料理(シチュー)を最初に食べた時の感動は今でも覚えているだろう。取り組んでみるのはどうだと提案してみると。
「あったかい料理なんて初めてでしたからね…目が輝いているなってシドの隠れ家でみんなが喜んでくれて。よく覚えています。さっそくやってみます!」
そう元気に答えてくれた。読み通りというべきか。それがイヴァンにぴったりだったのだろう。文字を学び読むことにも精力的であった彼は古くからある食材探しを依頼するほどにはのめり込んで探求の日々ですと料理に対して意欲的になってくれた。
「作り出すってすごいことだよな」
ブラックソーンの鍛冶を眺めながらグツにオーガストが腕を組み語りかける。
「見極めるのもすごいことだよ」
グツはカローンの店へと視線を向けた。愛おしさと優しい眼差しがそこにある。
「…だな。作り出す奴がいて。それに価値があるか見極められるのも居る」
「ここはそれが出来るところだからね。しっかりと守らないと」
ばちんと両手を合わせ握りこぶしを作るグツに対し。
「グツ、魔物や相手となる兵たちは俺たちに任せろ。お前がしっかりと役割を果たしてくれるからこそ。俺たちも動けるんだ」
とんっと胸元を任せろとオーガストが軽く叩く。
「俺、ばあさんに拾われただけじゃなく。ここでチームとして動けて良かった」
グツがにこっと白い歯を見せて笑顔でそれに応える。
「本当に針子が得意なんだね」
クライヴに好きな色の布を聞いた後。
ベアラーの姉妹の服を仕立てた後に余った布地をジルに何か編んで挙げたらどうだいと勧めて見ると。
糸と針を丁寧に慣れた手つきで動かし始めるジルの姿がそこにあった。
「クライヴがね、嬉しそうに語っていたんだよ。ジルは針子が得意なんだって」
ふたりにとって良い思い出なんだね、とオルタンスがジルの手元をあたたかく見守りながらそう話しかけると。
「…クライヴはね、ジルはそうやって何かを作り出せるんだなってそう言ってくれたの」
俺は剣を振るって…命のやり取りをしながら。ジョシュアを守る為に。
命そのものを奪い…そうやって生きていくしかないと。
特段そうして言葉にした訳ではない。けれど、ジルの針子の様子を優しく眺めた後、彼女の部屋から去る時に。見送った後ろ姿からそう感じたのだ。
「…この場所はクライヴがいてくれたから、出来たんだよ」
「そうね。私もそう思う」
あの時は彼のその背にどうか気をつけてねと見送るしかなかった。
己が兵器として扱われ。命を奪う日々を重ねてきた現実から—わかり合えるとそう彼に語った。
未だ本心を見せようとはしていないのに、だ。
ジルがまた何かを押し込めるような姿勢を取ったのだと感じ取ったオルタンスは、軽くため息を吐いた後。ジルの両手をそっと押しとどめ。
「気持ちがちゃんと乗るまで。待つことも大事さ。それに、こっちの仕立ても手伝って欲しいからね」
急かすことなく心の中で“頼んだよ、クライヴ”と今ここにはいない彼に語りかけて。
彼女が想いそのものを紡いで作り出してくれるのは、ふたりの想いが誓いと共に通じてからとなる。
そうして彼らは見つけ出すのだ。
ここは人でいられる場所だけでなく、誰かの為に作り出せる場所であるのだと。
※拠点の皆のCreate(個人)というよりMake(共同)寄りなチームワークが好きなのです。
変わったこと
(ほのぼのクラジル)
すでに継ぐ者もおらず。
黄昏行くのだとロザリス城と城下街を見送った後ー。
具合を崩したジルの見舞い途中ー。
ジル「・・・・」
鉄王国から戻ってからこの医務室で彼女が先に手を重ねてくれたこともあり。今度はクライヴが彼女の前でしゃがみ優しく先に手を取った。
クライヴ「今は休むことだけ考えてくれ。叔父さんが協力してくれる。
準備が出来次第、俺とトルガルと共にここを出る」
ジル(…一緒に行けない)
モリー「失礼するよ。具合が悪いならとにかく体を冷やさないことさ。
りんごをすりおろして花の蜜を混ぜてお湯で溶いた。さあ、飲みなさい」
クライヴ「助かる、モリー」
モリー「タルヤとロドリグにはお茶だね。クライヴ、あんたにはカウンターでメイヴが待っている」
クライヴ「…久しぶりに皆にエールを振舞うか」
ふたりが医務室から去ってからー。
ジル「・・・・・」
タルヤ「助けてもらったと言っていたね。ジル、あなたの具合が落ち着くまでクライヴはここの外で落ち着きがなかった。
・・・変わったんだね」
ジルがゆっくりとタルヤに顔を向ける。
タルヤ「シドに協力するって決めてから、ここ。インビンシブルを見つけて落ち着くまで。そしてようやく二つ目のマザークリスタルドレイクブレスを破壊するまで。ずっとあなたとクライヴの間にどこかわだかまりがあった。それが変わったって戻ってから分かった」
あなたはクライヴの足手まといになってしまったと後悔ばかりしているかも知れないけれど。
タルヤ「シドの所で目を覚ましてからずっとあなたのこと大切にしていた。それが変わってもっと大切な…特別な人になった。それだけのことよ」
ジル「…その時から受け止めると決めたから」
(ふうっと息を吐いて)タルヤ「整理出来ない事なんてこのヴァリスゼアではたくさんあるわ。だからこそ、見失わないで」
ジル「…待っているだけでは、辛いの」
タルヤ「…それは私達も、よ」
今度怪我をしてそのままベアラーたちの為に飛び出そうものならこのベッドに縛り付けておこうかと思うくらいに、ね。
それとは別に、ジルもそうちゃんと言えるようになったのはやはり変わったのだととそうタルヤは考えている。
タルヤ「だから、頼むわ。クライヴがダルメキアから帰って来たら、ちゃんとそのことを話して」
ジルは言葉には出さず。
それでいて瞳を閉じてゆっくりと頷いた。
変わったこと※おまけ
ドリスとコール。合流地点で先に焚火に当たるロズフィールド兄弟と幼馴染のジルの仲睦まじい姿を遠くから眺めながら—。
3人ともぴったりとくっついて仲良く話し合っている。
コール「ものすごく距離が近いような感じがするのですが・・・」
ドリス「昔からこうだったと何事もないように御三方とも声を揃えてそうおっしゃるのです」
コール「・・・クライヴ様とジルさんが恋人同士になったとインビンシブル内では女性たちの話題としてもちきりでしたよね」
ドリス「ある意味ジョシュア様だから許されるのでしょう…」
・活かす
活かす
クライヴとダリミルの人々。
コンラート「ナターリエ。酒場の宿で通りかった奴があいつに関して妙なことを聞いたらしい。何でもワイバーンと名乗って傭兵だったとか。お前はあいつを商人だと聞いているよな?ちょっと探りをいれてもらえないか」
ルボルの店にて―。
ナターリエ、ルボルと話をしているクライヴに近づいて。
ナターリエ「アンダーヒルさん、ちょっと良いかしら」
ルボルに視線を向けると“ナターリエはお前が商人だと―一芝居打ったときのアンダーヒルなんだとそう思っている”と目線で返された。
ナターリエ「ダリミルはアカシア退治に関してあなたとルボルたちのおかげで結束をしている。この事態が落ち着いたら商売もまた繁栄させたいの。店閉じたままの主人たちが戻って来られるようにね。何か良いアイデアはないかしら」
クライヴ「…ここはレトニ渓谷へ水脈が通っているな。
皇国領に入っていたロザリアで神皇后だったアナベラが崩御してから建設が止まっていた水道橋を見つけた。タボールと協力して石材も運び込めるなら人材はあるから技術を再開出来る。
ロザリアのあそこは石化を和らげられるストナ草など珍しい薬草も多い。行くだけでなく建設に協力してもらえるなら人材やその後の交流も見込めそうだ」
ナターリエ「ザンブレクはここに流れて来た難民の様子から相当勢力が落ちていると分かる。確かに良いアイデアね、コンラートやルボルと相談しておくわ。ところで、あなた随分と詳しいけれど各地を回っているわけ?」
クライヴ「半分は傭兵の身でね。“ワイバーン”と名乗ったりして物好きの大富豪の依頼を受けたりもする。ロザリアで武器や貿易に詳しい富豪との繋がりもあるんだ。そちらで依頼を受けたついでに水道橋をこの目にした」
ナターリエ「なかなかの実力者ってことね。頼もしいわ。また何かあれば相談するからこれからも宜しくね、アンダーヒルさん」
ナターリエが去ってから―。
ルボル「見事なもんだ。下手に演技に頼るより今度からはこっちの方向でやってもらうとするかね」
クライヴ(…ドレイクブレス破壊後、ロザリアの民の生活はさらに苦しいままだからな…せめてもの…)
ルボル「どうした?前にも言ったけど死にかけたりして這いつくばるようにそれでも生き延びたこの身からすればクリスタルがないってだけじゃ、生きていけない理由なんてないぜ」
クライヴ「さすが、そちらもアカシア退治に皆を纏め上げただけはある」
ルボル「…そこにいる子どもたちのおかげで、な。水道橋のことは協力者であるマーサからストラスを通して聞いている。お前は測量にも詳しいんだな」
クライヴ「ああ。物心つく頃に測量含めて実学を学んでいた」
ルボル「なら、心強いな。青空を取り戻せたなら、喜んで協力するぜ。
ダルメキアとロザリア、ザンブレクと3国同盟を復活させたとあのおじさんからもストラスが来た。そっちの水道橋はそれぞれにあるものを活かしていく生き方の象徴になるさ」
・見抜く
テランスとキエル
ひとつひとつの貧民街を訪れるのは辛くとも決して嫌なものではなかった。
あの御方も彼らのこの状況をその目にして。行なったことの意味と結果を。現実を目にして受け止めておられたのだと自らの目と足。そして心から感じたから。だからこそ、私と別れた。これからあなたが歩む道がドミナントだけが進める禁忌なのだと。そして一度きりー3国同盟の時だけに出会った彼との約束を果たしに行く。それは聖竜騎士団を…この国だけの騎士では無くなる現実であり事実だった。
小さな家だった。祖母が亡くなってからはひとりなのだと。
少女の目の前に跪き。そしてディオン様を手厚く看て下さり。まず心より御礼を申し上げますと頭を垂れる。
顔を上げて下さい。
キエルがそうテランスにまっすぐに話しかける。
「お金は良かったのに…」
「それではディオン様もあなた様に恩が返せません」
「無事でいて下されば。元気なお姿をまた見せてもらえたら。それだけで良かった…」
ずっと、苦しんでいたって分かったから。
ああ。同じなのだ。
自身がそれに気づいて槍ではなく剣の道を取ったように。
違うのは—。
「…出て行く時に…立ち止まれないとおっしゃった時に止めなかった。このままでは自分を許せなくなると。
そして、このお父さんとこの世界を狂わせた存在へと立ち向かうと」
「…存じております」
「私の薬、効いたでしょう?と体を気遣うことは出来ました。苦しくても危険な戦いにまた出て行かれると」
苦しんでいるって分かってもそれは私の届かないところなんだって。
「…私も…そうです」
御心のままに主君として最後までお仕え出来ればと。
限界が近づいているお身体を気遣いながら。
「一緒に行きたいって言えなかった。私では辿り着けないところで戦っているんだって…」
想いに気づいた故に構わないと私の為にディオン様自ら押し切って下さり。そして傍に置いて頂けた。微笑んで下さった。
この少女は私とは違う決断を下した。
(戻る、と…)
そのことをキエルには伝えられない。
「それでも。あなた様には感謝しております。ディオン様も…私も」
お世話をさせて下さい。
あの御方の孤独を見抜いた者同士。
守ろうとしているこの世界で大切なものを見抜くためにも。
別れの予感(エルとテオ)
ボクラド市場にて新たな協力者、エルとテオの協力を得たクライヴとジル。
テオ「お前の乗っている馬(チョコボ)のことなんだが」
クライヴ「アンブロシアか?どうかしたのか」
テオ「ゴブリン族の依頼の時と同じでそっちもメスなんだよな。同じく群れを率いていたと。いや、ここの馬(チョコボ)たちはオスが多いから…」
ゴブリンプリンスセスと呼ばれる集落を形成している女王のことを思い出す。
そこで友好関係を結んだ男のことも。
魔物が黒の一帯の影響で人々が暮らしている村や街にも被害が起きていると各地でも問題にはよく上がる。魔物たちも生きる為に必死なのだ。
馬(チョコボ)で駆け巡ると人にすぎ敵対心を向けるものも居ればそうではないものも存在していると気配で分かる。
そうした被害を収める為にも黒の一帯―それを引き起こしている元凶であるマザークリスタルの破壊は急がなければならない。
クライヴ「…引き合わせたいのか」
テオ「いますぐどうこうしようって訳じゃないさ。ここで働かせる以外にしっかりと他の世話もしてやらないとな。それが馬(チョコボ)を預かる者の務めでもある」
クライヴ「自治領へ向かうにはまだ少し猶予はある」
テオ「お前の馬(チョコボ)ならお前がいるとそっちに気が向くんじゃないか。ここは姉貴に頼んで―」
ジル「そういうことなら、私もエルと行くわ」
クライヴ「ジル、頼む」
一頭のオスチョコボを連れて行くエルとジルの後ろ姿を見送りながら—。
テオ「ここの馬(チョコボ)たちは入り口付近で世話している奴のところで産まれた。言ってしまえば家族だ。他の行商人にも買われて、それぞれ貰われていったのもいる。
きょうだいでも、別れは必ず来るんだよな…」
クライヴ「‥‥‥」
噂
ザンブレク皇国、オリフレム地下―。
マザークリスタルドレイクヘッド目前、神殿付近にてー。
上層階に空いた大穴を3人とトルガルは眺めながら。
シド「バハムートのドミナントとかち合ってよ。あそこに大穴開けて逃げ切ったんだ」
クライヴ「召喚獣同士に力の差はほとんどないと言われているが…良く逃げ切れたな」
シド「ザンブレクは竜を崇拝の対象として掲げる。女神グエリゴールの影響なのか竜騎士団は殆ど槍だ。中には魔法や剣の奴もいるが…向こうが長物で穴に引っかかって手間取ってた隙になんとかな。戦場では信頼出来る部下に槍を預け受け取ってから出陣をすることが多い。そうした習わしでは想定外の事態で穴の大きさが咄嗟に頭の計算に入らなかったんだろう」
クライヴ「成程。ロザリアでは剣を突き立て敬礼を行なうから他者に預けたりはしない。ウォールードにも何かあるのか」
シド「さあ…これと言ったものはな」
クライヴ「…ああ、ジルすまない。先を急ごう」
ジル「…ううん」
クライヴ「‥‥?」
シド(さっきこいつが俺を助けた時もちょっと柔らかくなっていたな…)
「さて、バハムートのドミナントほどではないが、これから先は厄介なお相手が続くぞ。ふたりとも、いいな」
その頃、オリフレムから自治領へ軍を仕掛けようとする竜騎士団と皇国兵の中―。
ディオン「…っ」(小さいくしゃみを抑える)
テランス「寒いのですか、ディオン様」
ディオン「いや、余…よりも何やらバハムートのことで噂されているような」
テランス「オリフレムに残った皇国民でしょうか。
戦地から戻られたディオン様が皇都からすぐに姿を消し―…今は我々と共に自治領へと向かっておられる…」
ディオン「生まれ故郷を離れていくのも離れられないのも、どのような心境なのだろうな…」
(ザンブレクの人たちは、自由なのか―?)
クリスタルの麓の神殿へ忍び込んだ賊からそう問いかけられた。
あの場所が民の為にもそやつに利用などされなくて良かったと今でもそう思う。
だが、あの問いにこの戦いへ向かっている自分がすぐ答えられるのだろうか。己の心に染みが出来たような感覚が付きまとう。
テランス「私はどこへでもお供致します」
頷くディオン。
ディオン(この槍を預けるのもそう遠くない日に終わりがくる…)
「噂自体は別に悪い事ではない。誰かの記憶に留まっている」
テランス「根も葉もない悪意でしかないのであれば、傍に居る私が真実を語ります」
ディオン「テランス、感謝する」
マザークリスタルドレイクヘッド。コアの部分を眺める3者とトルガル。
シド「これからやることは噂では収まらん。歴史、だな」
ジル「名を残すのね。大罪人と呼ばれても」
シド「悪くない人生だろ、お前はどう思う」
クライヴ「言ったはずだ。信じるさ」
・3人寄れば(バイロン叔父さん)
インビンシブル内、ハルポクラテスに頼まれ図書館へ本を返しにいくお手伝いをしている双子のテトとクロ
テト「3人が良かったかなあ」
クロ「ハイデマリーに声を掛けてみようか」
バイロン「おお、重たそうな本だな。大丈夫か」
テト「あ、クライヴのおじさん」
クロ「シドのおじさん」
テト「おじさんはきょうだい何人?」
バイロン「…兄がおったのだがな…。何故そのことを?」
クロ「あ、じゃあふたりなんだ。この間そこのテーブルにジルとミドとせんせい(ヴィヴィアン)でおちゃかいって言っていたかな、それをしていたら男の人たちがちらちらとここを通るたびに見ていて」
テト「みんなにこにこしていたんだ」
バイロン「‥‥ふむ」
クロ「びじんが3人そろうといいなってだれか言ってた」
テト「クライヴとジョシュアと、りゅうきしのおうじさま(ディオン)もおんなじだったね」
クロ「そこのハッチ、ってミドが言ってた近くにおうじさまよくいるから」
テト「ふたりが近づいて3人でおはなししていたら女の人たちも同じようにながめてにこにこしていた」
クロ「3人がそろうといいわねって。だれのよこがおがすき?とかそう言ってた。みんな3人が良いんだなあってそう思ったの」
バイロン「なるほど…」
ベアラーであることが発覚したルボルを助けようとインビンシブルから出発の準備をしているクライヴ。
バイロン「クライヴよ、ひとりで行くのか」
クライヴ「トルガルも一緒です。アカシアのこともありますが、こちらから石の剣を割くより奴らに対抗出来るようルボルならダリミルを纏められるはずだ。
今回俺は手助けに回る方が良い」
バイロン「癪に障る若造ではあるが、賢いとは思っておる。
留守の間はわしにふたりを任せなさい。虫がつかないようにしておくぞ」
クライヴ「?」
Make
(拠点の皆)
何かを作り出すのは特別なこと?
それとも大変なこと?
テトとクロがハルポクラテスの書斎で元気に走り回るようになってから—それはこの新しいインビンシブルと呼ばれる拠点が5年の時を経てようやく形となり、石の剣の部隊も揃った今だからこそ出来るわけで―ぴたりと双子が止まったかと思えば矢継ぎ早にハルポクラテスに教えてとせがんで来た。
「ほう、良い質問だね。どうしてそう思ったのかまずそれを教えてくれるかの」
小さい子どもの好奇心は旺盛だ。人と“ベアラー”の夫婦の間に産まれて来た双子たち。
この双子の両親の命はフーゴが顕現したタイタンによって奪われた。幼かったとはいえ、庇護してくれる存在がいないというのは大きな傷となったはずだ。よくクライヴを含めこの拠点の大人たちの腕の中で眠れない夜は涙を流しながら彼らにしがみついて過ごしていた。心の傷が完全に癒えたわけではないだろう。それは頬に刻印を産まれてからすぐに入れられたもう少し大きいミドを先生と慕っているあの子たちとて同じだろう。とはいえ、忙しく働いている周りの大人たちがしっかりと生きている様子を目の辺りに出来るのはこの子たちにとっては良い環境となっている。
「バードルフおじさんのお弟子さんたち、船が傷まないように毎日しっかりと打ち込んでいるんだって教えてくれた」
「カタチになっていくのは面白いって。でも日が暮れる頃にはくたくたなんだって」
「確かに。ここも見つけてから今の形になるまで随分と時間が掛かったのは覚えているかな」
双子がうん、と合わせて頷く。
「疲れた後にエールやごはん食べると美味しいって言ってた」
「おじさんが前のおやかたさん?と一緒に同じこと言ってたって」
顔を見合わせながらひとつひとつ。拠点で過ごしている彼らの話を復唱しながら思い起こし。そうしてここで起きている人の生きかたそのものを双子たちは彼らなりに心に染み込ませているのだとハルポクラテスは感じ取った。
「なら、テトとクロ。ふたりとももう分かっておるな」
何かを作り出すのは—。
「「大変だけど、楽しい」」
「ふたりはどうかね。何かを作りたいかい?」
「作るのも楽しそうだけど。ハルポクラテスのお話はもっと楽しい」
「おお、そうか。では今日は—…」
後に師であるモースの才を受け継げるのではないかと思うほど才能があるジョシュアがこの書室に加わり。語り合う相手が増えた喜びがそこにあった。
“記すのかね”
“新たな…本当の意味で人の歴史が始まる”
人が人でいられる世界を作り出すという、兄の悲願と共に。
イヴァンに大工仕事を引き受けて少し手伝ってみたのですが…どうやら僕は力が足りないみたいですと相談を持ち掛けられた。
イヴァン自身に特に話したりはしていないのだが。俺が少年の頃、りんごを拾った相手であるベアラーに彼は似ていた。ふとそのことを思い出し。
調理もなかなか体力はいるが。モリーと相談してみる。
彼女と協力し合いながらケネスが作ってくれた料理(シチュー)を最初に食べた時の感動は今でも覚えているだろう。取り組んでみるのはどうだと提案してみると。
「あったかい料理なんて初めてでしたからね…目が輝いているなってシドの隠れ家でみんなが喜んでくれて。よく覚えています。さっそくやってみます!」
そう元気に答えてくれた。読み通りというべきか。それがイヴァンにぴったりだったのだろう。文字を学び読むことにも精力的であった彼は古くからある食材探しを依頼するほどにはのめり込んで探求の日々ですと料理に対して意欲的になってくれた。
「作り出すってすごいことだよな」
ブラックソーンの鍛冶を眺めながらグツにオーガストが腕を組み語りかける。
「見極めるのもすごいことだよ」
グツはカローンの店へと視線を向けた。愛おしさと優しい眼差しがそこにある。
「…だな。作り出す奴がいて。それに価値があるか見極められるのも居る」
「ここはそれが出来るところだからね。しっかりと守らないと」
ばちんと両手を合わせ握りこぶしを作るグツに対し。
「グツ、魔物や相手となる兵たちは俺たちに任せろ。お前がしっかりと役割を果たしてくれるからこそ。俺たちも動けるんだ」
とんっと胸元を任せろとオーガストが軽く叩く。
「俺、ばあさんに拾われただけじゃなく。ここでチームとして動けて良かった」
グツがにこっと白い歯を見せて笑顔でそれに応える。
「本当に針子が得意なんだね」
クライヴに好きな色の布を聞いた後。
ベアラーの姉妹の服を仕立てた後に余った布地をジルに何か編んで挙げたらどうだいと勧めて見ると。
糸と針を丁寧に慣れた手つきで動かし始めるジルの姿がそこにあった。
「クライヴがね、嬉しそうに語っていたんだよ。ジルは針子が得意なんだって」
ふたりにとって良い思い出なんだね、とオルタンスがジルの手元をあたたかく見守りながらそう話しかけると。
「…クライヴはね、ジルはそうやって何かを作り出せるんだなってそう言ってくれたの」
俺は剣を振るって…命のやり取りをしながら。ジョシュアを守る為に。
命そのものを奪い…そうやって生きていくしかないと。
特段そうして言葉にした訳ではない。けれど、ジルの針子の様子を優しく眺めた後、彼女の部屋から去る時に。見送った後ろ姿からそう感じたのだ。
「…この場所はクライヴがいてくれたから、出来たんだよ」
「そうね。私もそう思う」
あの時は彼のその背にどうか気をつけてねと見送るしかなかった。
己が兵器として扱われ。命を奪う日々を重ねてきた現実から—わかり合えるとそう彼に語った。
未だ本心を見せようとはしていないのに、だ。
ジルがまた何かを押し込めるような姿勢を取ったのだと感じ取ったオルタンスは、軽くため息を吐いた後。ジルの両手をそっと押しとどめ。
「気持ちがちゃんと乗るまで。待つことも大事さ。それに、こっちの仕立ても手伝って欲しいからね」
急かすことなく心の中で“頼んだよ、クライヴ”と今ここにはいない彼に語りかけて。
彼女が想いそのものを紡いで作り出してくれるのは、ふたりの想いが誓いと共に通じてからとなる。
そうして彼らは見つけ出すのだ。
ここは人でいられる場所だけでなく、誰かの為に作り出せる場所であるのだと。
※拠点の皆のCreate(個人)というよりMake(共同)寄りなチームワークが好きなのです。
変わったこと
(ほのぼのクラジル)
すでに継ぐ者もおらず。
黄昏行くのだとロザリス城と城下街を見送った後ー。
具合を崩したジルの見舞い途中ー。
ジル「・・・・」
鉄王国から戻ってからこの医務室で彼女が先に手を重ねてくれたこともあり。今度はクライヴが彼女の前でしゃがみ優しく先に手を取った。
クライヴ「今は休むことだけ考えてくれ。叔父さんが協力してくれる。
準備が出来次第、俺とトルガルと共にここを出る」
ジル(…一緒に行けない)
モリー「失礼するよ。具合が悪いならとにかく体を冷やさないことさ。
りんごをすりおろして花の蜜を混ぜてお湯で溶いた。さあ、飲みなさい」
クライヴ「助かる、モリー」
モリー「タルヤとロドリグにはお茶だね。クライヴ、あんたにはカウンターでメイヴが待っている」
クライヴ「…久しぶりに皆にエールを振舞うか」
ふたりが医務室から去ってからー。
ジル「・・・・・」
タルヤ「助けてもらったと言っていたね。ジル、あなたの具合が落ち着くまでクライヴはここの外で落ち着きがなかった。
・・・変わったんだね」
ジルがゆっくりとタルヤに顔を向ける。
タルヤ「シドに協力するって決めてから、ここ。インビンシブルを見つけて落ち着くまで。そしてようやく二つ目のマザークリスタルドレイクブレスを破壊するまで。ずっとあなたとクライヴの間にどこかわだかまりがあった。それが変わったって戻ってから分かった」
あなたはクライヴの足手まといになってしまったと後悔ばかりしているかも知れないけれど。
タルヤ「シドの所で目を覚ましてからずっとあなたのこと大切にしていた。それが変わってもっと大切な…特別な人になった。それだけのことよ」
ジル「…その時から受け止めると決めたから」
(ふうっと息を吐いて)タルヤ「整理出来ない事なんてこのヴァリスゼアではたくさんあるわ。だからこそ、見失わないで」
ジル「…待っているだけでは、辛いの」
タルヤ「…それは私達も、よ」
今度怪我をしてそのままベアラーたちの為に飛び出そうものならこのベッドに縛り付けておこうかと思うくらいに、ね。
それとは別に、ジルもそうちゃんと言えるようになったのはやはり変わったのだととそうタルヤは考えている。
タルヤ「だから、頼むわ。クライヴがダルメキアから帰って来たら、ちゃんとそのことを話して」
ジルは言葉には出さず。
それでいて瞳を閉じてゆっくりと頷いた。
変わったこと※おまけ
ドリスとコール。合流地点で先に焚火に当たるロズフィールド兄弟と幼馴染のジルの仲睦まじい姿を遠くから眺めながら—。
3人ともぴったりとくっついて仲良く話し合っている。
コール「ものすごく距離が近いような感じがするのですが・・・」
ドリス「昔からこうだったと何事もないように御三方とも声を揃えてそうおっしゃるのです」
コール「・・・クライヴ様とジルさんが恋人同士になったとインビンシブル内では女性たちの話題としてもちきりでしたよね」
ドリス「ある意味ジョシュア様だから許されるのでしょう…」
・活かす
活かす
クライヴとダリミルの人々。
コンラート「ナターリエ。酒場の宿で通りかった奴があいつに関して妙なことを聞いたらしい。何でもワイバーンと名乗って傭兵だったとか。お前はあいつを商人だと聞いているよな?ちょっと探りをいれてもらえないか」
ルボルの店にて―。
ナターリエ、ルボルと話をしているクライヴに近づいて。
ナターリエ「アンダーヒルさん、ちょっと良いかしら」
ルボルに視線を向けると“ナターリエはお前が商人だと―一芝居打ったときのアンダーヒルなんだとそう思っている”と目線で返された。
ナターリエ「ダリミルはアカシア退治に関してあなたとルボルたちのおかげで結束をしている。この事態が落ち着いたら商売もまた繁栄させたいの。店閉じたままの主人たちが戻って来られるようにね。何か良いアイデアはないかしら」
クライヴ「…ここはレトニ渓谷へ水脈が通っているな。
皇国領に入っていたロザリアで神皇后だったアナベラが崩御してから建設が止まっていた水道橋を見つけた。タボールと協力して石材も運び込めるなら人材はあるから技術を再開出来る。
ロザリアのあそこは石化を和らげられるストナ草など珍しい薬草も多い。行くだけでなく建設に協力してもらえるなら人材やその後の交流も見込めそうだ」
ナターリエ「ザンブレクはここに流れて来た難民の様子から相当勢力が落ちていると分かる。確かに良いアイデアね、コンラートやルボルと相談しておくわ。ところで、あなた随分と詳しいけれど各地を回っているわけ?」
クライヴ「半分は傭兵の身でね。“ワイバーン”と名乗ったりして物好きの大富豪の依頼を受けたりもする。ロザリアで武器や貿易に詳しい富豪との繋がりもあるんだ。そちらで依頼を受けたついでに水道橋をこの目にした」
ナターリエ「なかなかの実力者ってことね。頼もしいわ。また何かあれば相談するからこれからも宜しくね、アンダーヒルさん」
ナターリエが去ってから―。
ルボル「見事なもんだ。下手に演技に頼るより今度からはこっちの方向でやってもらうとするかね」
クライヴ(…ドレイクブレス破壊後、ロザリアの民の生活はさらに苦しいままだからな…せめてもの…)
ルボル「どうした?前にも言ったけど死にかけたりして這いつくばるようにそれでも生き延びたこの身からすればクリスタルがないってだけじゃ、生きていけない理由なんてないぜ」
クライヴ「さすが、そちらもアカシア退治に皆を纏め上げただけはある」
ルボル「…そこにいる子どもたちのおかげで、な。水道橋のことは協力者であるマーサからストラスを通して聞いている。お前は測量にも詳しいんだな」
クライヴ「ああ。物心つく頃に測量含めて実学を学んでいた」
ルボル「なら、心強いな。青空を取り戻せたなら、喜んで協力するぜ。
ダルメキアとロザリア、ザンブレクと3国同盟を復活させたとあのおじさんからもストラスが来た。そっちの水道橋はそれぞれにあるものを活かしていく生き方の象徴になるさ」
・見抜く
テランスとキエル
ひとつひとつの貧民街を訪れるのは辛くとも決して嫌なものではなかった。
あの御方も彼らのこの状況をその目にして。行なったことの意味と結果を。現実を目にして受け止めておられたのだと自らの目と足。そして心から感じたから。だからこそ、私と別れた。これからあなたが歩む道がドミナントだけが進める禁忌なのだと。そして一度きりー3国同盟の時だけに出会った彼との約束を果たしに行く。それは聖竜騎士団を…この国だけの騎士では無くなる現実であり事実だった。
小さな家だった。祖母が亡くなってからはひとりなのだと。
少女の目の前に跪き。そしてディオン様を手厚く看て下さり。まず心より御礼を申し上げますと頭を垂れる。
顔を上げて下さい。
キエルがそうテランスにまっすぐに話しかける。
「お金は良かったのに…」
「それではディオン様もあなた様に恩が返せません」
「無事でいて下されば。元気なお姿をまた見せてもらえたら。それだけで良かった…」
ずっと、苦しんでいたって分かったから。
ああ。同じなのだ。
自身がそれに気づいて槍ではなく剣の道を取ったように。
違うのは—。
「…出て行く時に…立ち止まれないとおっしゃった時に止めなかった。このままでは自分を許せなくなると。
そして、このお父さんとこの世界を狂わせた存在へと立ち向かうと」
「…存じております」
「私の薬、効いたでしょう?と体を気遣うことは出来ました。苦しくても危険な戦いにまた出て行かれると」
苦しんでいるって分かってもそれは私の届かないところなんだって。
「…私も…そうです」
御心のままに主君として最後までお仕え出来ればと。
限界が近づいているお身体を気遣いながら。
「一緒に行きたいって言えなかった。私では辿り着けないところで戦っているんだって…」
想いに気づいた故に構わないと私の為にディオン様自ら押し切って下さり。そして傍に置いて頂けた。微笑んで下さった。
この少女は私とは違う決断を下した。
(戻る、と…)
そのことをキエルには伝えられない。
「それでも。あなた様には感謝しております。ディオン様も…私も」
お世話をさせて下さい。
あの御方の孤独を見抜いた者同士。
守ろうとしているこの世界で大切なものを見抜くためにも。