クライヴ、ジョシュア、ジルの望郷組多めに色んなキャラクターが登場します。シリアスやほのぼの、コメディなど。




ロマン系も多いヴァリスゼア大陸


砲撃兵A「大砲はロマンだよな…」
砲撃兵B「海軍に入れば大砲を打ちまくれるかと思いきや聖竜騎士団が民に被害を及ばせるつもりかと煩くて敵わん。地上戦となると聖竜騎士団がジャンプで幅を利かせる。ならばクリスタル採掘場…つまりは地下でこの武器を思う存分振るうとしよう」
砲撃兵C「殴っても良し、エーテルを用いた弾を打てば火だけでなく氷や雷も起こせる。さっそく武器開発部門に相談を持ち掛けるか」

※大砲抱えた兵への私の感想。危ないって、こんな狭い場所じゃ自爆だ自爆(特にロストウィングの地下倉庫)

ダルメキア兵A「フーゴ様の己の肉体を用いた戦い方はロマンだよな…」
ダルメキア兵B「己の拳にて大地を割り、叩きつける。痺れるよな」
ダルメキア兵C「タイタンの力だろうなどと失礼なことを言う輩もいるが…それを制してこそのドミナント。フーゴ様は頭も良い。協議会も逆らえないわけだ」

※フーゴさんの部下たちは彼が生きている間はフーゴ武勇伝を日々語ってそう。亡くなってからはタボールまで行く道で出会った部下がフーゴ寄りの見方が正しかったのか疑問を浮かばせる姿が興味深いです。

スレイプニル「バルナバス様の魔力によりこの私が分身出来る限度は…」
バルナバス「そんなことに拘ってどうする」
スレイプニル「なにをおっしゃいますか。魔法生物とはそうたやすく作り出せるものではない。これが上手くいけばオーク族の軍隊をミュトス歓迎に回せるではありませんか。
一騎当千というのも憧れますがね、相手をこちらのペースに完全に引き込み翻弄するというのも面白いものですよ」
理「ふむ。ミュトスの成長を促すというのであればこちらから眷属たちをもっと遣わすか」
バルナバス「あれらの中には姿をくらませそして死角へ回り込めるものもいます。“あちらの次元”と関わりがあるのですか」
理「行方をくらませ。そしてあちらの世界から思いもよらない方向から姿を見せる。愚かな人には理解が出来ない生命体だ」
スレイプニル「ロマンですねぇ…」
バルナバス「‥‥」
理「何より。ミュトスが器に相応しくなるのであちらの世界との接触も重要だ。行き来をするわけだからな。今は我(We)が引き込んでいるが眷属たちの魔法を直接はくらわずともその目にし切り込んでいくのであれば思考と身体に影響を及ぼすであろう?」
バルナバス(計画通りに事を運ぶと)「一応、考えてはおられると」
理「一応とは何だ」
スレイプニル「バルナバス様、本音と建前が逆になっています」

※バルナバスの剣も結構ロマンだと思うのです。斬鉄剣設定は今までのナンバリングタイトルにはなかったものでしたね。


バイロン「兄上。北部地方の遠征も大変お疲れ様です。
して、その仔狼は?」
エルウィン「狼の群れに敵意をもって囲まれてな。退けて散り散りになったところはぐれていたのだ。クライヴなら懐くかと思い連れて帰る」
バイロン「もう馬(チョコボ)に乗り狩りへ出ていると話してくれました。
成犬ともなればこちらもクライヴと共に狩りへ出て行くのですな」


それから19年後―。
ハルポクラテスとクライヴからトルガルの正体についても聞いたバイロン叔父さん。


バイロン(兄上はとんでもない置き土産もされたものだ…)「それにしてもその群れに打ち勝つとは。兄上もなかなかのロマンじゃな…」

※エルウィンさんは若い頃はけっこうバイロンさんやマードック将軍と無茶していた印象あるのですが(笑)バイロンさんが武器に興味を示すのって兄上の影響も大きそうな印象。
実際は統治を支えるためでしょう。その辺りもエルウィンさんが兄弟での統治を考えていた背景に繋がっていると考えられますね。



綺麗(アンブロシアとジル)

それはふと視線を向ければ目に入ってくるので迷うことなく言葉にする。
「毛艶が良いな、綺麗だ。今日も頼むぞアンブロシア」
空が覆われて透き通った青空が見えなくなり少し日にちが経った。ようやくジョシュアも目を覚まして、実に18年振りに3人でいられるようになったのだ。
フェニックスを降ろして苦しんでいるお前が目の前にいるのにナイトとして誓っておきながら。
何も出来ない自分が嫌で飛び出そうと炎と崩れていく瓦礫からアンブロシアが俺を守ってくれたのだとそう伝えると。
ジョシュアも両手で彼女の顔を優しく包み込み、じっとその傷ついた瞳を見つめる。


気高くそれでいて兄さんの為に自分の瞳が傷ついても構わなかったのか…。
忘れないでいてくれて…感謝している。トルガルにも、な。
ロザリアの宝と呼ばれていたんだね。アンブロシアに相応しいね。
白い馬(チョコボ)はひときわ目を引く。群れを率いて彼らを守っていたからなおさらその生き様が目に焼き付いたんだろう。


狩りに出ていく兄をジルと共に見送っていた少年時代を思い出した。
気性の激しさは兄がまたがり森や荒野であっても大地をしっかりと踏みしめそして相手が魔物であっても強烈な蹴りをお見舞いする姿から変わっていないのだとよく分かる。
荒々しくも気高い。アンブロシアはそうした気質であり、兄も弟も綺麗だとそう語る。

2,3歩ほど離れたところでジルが兄弟のそのやり取りを眺めていた。少女だった時は厳しくても稽古を欠かさないクライヴをひとりで、そしてジョシュアが屋敷の外に出られるようになってからふたりでよく見届けていた。アンブロシアにまたがり狩りに出て行くその姿も。
その時は自分も馬(チョコボ)にまたがって彼に付いていくなどとは思ってもいなかったがすっかりと慣れた。
「さて、のんびりしている時間はあまりない。急ぐぞ」
狩りに出ていた時と同じく颯爽とクライヴが乗り込み。
「クレシダだったね」
ジョシュアがアンブロシアと共に付いて来た1頭に。
「バーナードの家族の墓がある。奥で徘徊している遺物に壊されてしまう前に退治しておこう」
「かつて戦った遺物たちは妙な剣を持っていたわ。範囲は広いでしょう、私は外から魔法で援護するわね」
「ああ、頼む」
ジルももう1頭に乗り込んで目的地へと向かう。



「助かったよ。バーナードにはふたりがここに来たばかりの頃に橋を直してもらった礼もあったからね」
空の異変が起きたままとはいえ、夜は闇に包まれる。
そうした中で月だけははっきり明るく見えヴァリスゼアの人々は隣に赤く輝くメティアと共に見上げるのだ。世話代としてギルを支払った宿の外にて馬(チョコボ)を世話している男はこれがそうなのかとまじまじとアンブロシアを見つめている。隣にはおやつをもらって丸まったトルガルの姿も。クライヴが少し待っていてくれるかとトルガルの頭とアンブロシアの首をぽんぽんと優しく撫でたので大人しくしているのだが、実際に彼らが駆けていく姿を目にしたらさらに度肝を抜かれるであろう。
マーサの宿にても報告を終え、せっかくなので豆と野菜の入ったスープくらいは作り立てだし食べていきなよとカウンター席で招かれたのでありがたく頂くことにした。ニンジンをさりげなく残そうとしている弟の様子に子どもの頃からこうだったんだとクライヴが語るものだから。
ジョシュア様もお変わりないようでとマーサもからかうのではなくほっとした様子でああエルウィン様の魂はやはり残っているのだとそうじんわりと実感した。
パンの方はほんのり酸っぱい味わいがした。
ジルがそのことについて尋ねると、ドレイクヘッド破壊後のことはカンタンから聞いていますよね、小麦の収穫が厳しくなったので向こうから売りに出せないワインを分けてもらって長持ちさせるために入れているんですよと彼女は周囲に聞こえないようにそっと告げてくれた。
ジルがモリーにも話しておくわねとほほ笑んだので宜しく伝えてやってとマーサもインビジブルにいつか顔を出すような含みで元気に答えた。
食事が終わり次の作戦について打ち合わせをしようと2階で空いている部屋はあるかと立ち上がった兄弟に対しジルは針と糸を借れないかとマーサに持ち掛けた。先ほどのアトモスとの激闘でほつれてしまった箇所を話し込んでいる間に直そうとそう思ったのだ。
すぐに持っていくから2階の一番奥の部屋へどうぞと案内され、3人で足を早める。
大人が3人上ると若干狭くはある宿内、先に進んでいたクライヴが扉を開きジョシュアとジルに中に入るように促す。
ジョシュアが入り、そしてジルが進もうとするとクライヴがそっと耳元で今日も助かった、ジル。帰りにノースリーチに寄ろうと思うとそうささやいた。彼女が振り返ると。いつも丁寧にそのリボンで髪を纏めているだろう。市場ではまだ布を取り扱っている商人がいるから新しいのを君に贈りたいとそう優しい瞳と共にそう語ってくれた。

“綺麗だ”
彼は特段彼女に対してはそう言葉にはしない。ずっと会いたくてもう会えないのだろうと思っていた彼女は戦いを覚え兵器として長年過ごしていた。望まないまま剣と魔法を扱い。変わったのだと自ら彼に告げて。
人でいたいと、涙を流しながらただ傍にいるだけでない、本当の意味で彼と居たいとようやく告げたのはついこないだのことだ。
彼女の容姿だけ見ればあまりもう思い出したくはないのだがフーゴたちの部下が下品な品定めしていたように男にとってはそうした意味でも価値があるのだろう。

彼にとって彼女はそうした人でない。もっとずっと中にあるもの。
彼女が大切にしたいと願っている心の奥底にあるもの。
凛として毅然とした姿も、本当は心の奥にしまいこんだ大切なものを動かしたいという必死で抗うその歩み方そのものも。
彼を強烈に惹きつけているのだ。だからこそ彼は彼女を尊び敬愛する。言葉ではなく行ないでそれを示す。そうでなければ君に伝わらない。彼自ら進み出ていくのだ。
前に進むと決めたあの時から。その中に君も共に含まれているのだと優しい瞳でそう訴えてくる。
瞬き程のほんの数秒。それでいて彼の想いを彼女はしっかりと受け取り。
「ええ、行きましょう」
ゆっくりとほんのり微笑んだ。ちょっと頬が上気しているのは気のせいではない、確かにあたたかくなったと感じて。
「良かった」
さあ次だな、と彼も部屋へ入って行く。
「兄さん。その前に相談したいことがある」
弟が持ち掛けた内容から再び抗なければならない事態に3人で意識を向けた。

人から離れながらも人であることを貫こうとした彼と。
人に戻りたいと願いながら彼への想いをずっと募らせつづけた彼女の。
これは想いの繋がりを重ねてきた中でのちょっとしたやり取り。

・ふっくら(クライヴ←ジル&トルガル)

新しい拠点の生活にすっかり慣れてからクライヴだけでなく、子どもたちが食べ残しをすると怒られるので残ったパンくずをこっそり上げて。ちょっとしたときでも石の剣のメンバーにおやつをもらうようになったトルガル。
(※実際に犬種にパンを与えるのは身体に悪いのでやめましょうね。)


(父上の言われた通り再会出来たときには大物になったと思ったのだが…ここの所は…)
サロンにてお茶をしているジルとミドに軽く手を上げて。
ハルポクラテスの所から自分の私室へ戻ろうとカローンの傍でのんびりと過ごしているトルガルが視界に入った。クライヴが独り言ちる。
「(トルガルが)ここ最近ふっくらしてきたな…」

「…」
「ん?ジルどうかした?」
「ううん、なんでもないの」

数日後―。ミドの大工房にてブラックソーンに部品を頼んだ後、次の買い物に関して彼の私室にて打ち合わせをし。部屋に戻ろうとする彼女に声を掛けた。
「ジル。ここ数日、君があまり食べたがらないと皆が心配している。何か悩んでいることがあったら教えて欲しい」
もしかしたら女性特有のものかもしれない。デリケートなことには触れない程度に優しく尋ねると。
「いいえ…。あのね、クライヴ」
「どうかしたのか」
「あなたも…その、綺麗な人の方が良いわよね」
目を伏せながらそうぽつりとつぶやかれた。
「‥‥」
どういった意図でそう尋ねてきたのか一瞬掴めず。どうやら彼女は己がどう彼女を見ているかとても気にしているのだとそう気づいた。
「…目が覚めて仕度を整えるとすぐに君が駆けつけてくれる。ここではそれが日課のようになっているな」
「‥‥」
彼のその返しに彼女が顔を上げた。
どう答えるべきか少し思い巡らしてから発したものを彼は続けていく。
「再会出来てからずっとそうだった。すごく感謝している。俺に合わせるように君が動いてくれて、それはものすごく大変なことなのに君は俺にそれを感じさせようとしないで。今でこそ俺も顕現は出来るが君に負担ばかりかけていた。ひと言では言い表せないな…」
「うん…」
ジルの表情が明るくなっていく。
「だからこそ、なのかもしれない。君に何かあったと聞くとどうにも落ち着かなくなる…」
照れ隠しはせずに真剣に伝えた方が良い。そう考えてまっすぐ見つめると。
「私だって…フーゴとの決着へあなたが向かった時…戻ってくるまでずっと辛かった」
待っているだけでは辛いからと鉄王国にて因縁を断ってから一時期ははっきりと彼に対して想いを告げる兆しを見せていた彼女だったが。
ロザリスにてあの男に捕えられ結局クライヴの足手まといになってしまったと感じてからジルはまたどこか抑え込むような傾向へと戻った。
加えてミドの計画が終われば次はマザークリスタルドレイクテイルークリスタル自治領に向かうことになる。
顕現出来るようになったクライヴはモブハントや他の用事を出来る限り自身で済ませようとひとりで拠点から出掛けていた。だからなのかもしれない。
彼女を引き寄せそっと頭を撫でる。5年前にも抱えて連れ出そうとし、目を覚ましたばかりの彼女を抱きしめた時と同じだ。
繊細なつくりの君に負担をかけていることや辛い想いをさせていることも申し訳なくなる。
人でありたいと語ってくれたあの時からなおさら人であって欲しいとその願いが沸き起こるのだ。
「すまない…それにしても君は華奢だな…」
「…そう、なの?」
「誰が見てもそう答えるさ」
「それじゃ、この間あなたがふっくらしたと言っていたのは」
彼女が目を少し丸くしながらそう言ったものだから、彼は少し瞬きして。
「…?ああ、トルガルのことか。トルガルもいつも俺に呼吸を合わせてくれる。が、どうにも丸くなってきているからな。次のモブハントではオベリスクに頼らずアンブロシアと一緒に思いっきり走らせようかと」
「あら、良いわね。馬(チョコボ)はまっすぐ走ると風を切らせて気持ち良いのよね。私も行くわ」

翌日―。
変わらずクライヴを先導しようと元気に走るトルガルの姿と。
その狼の後に続いて風を切らせ2頭の馬(チョコボ)を走らせる一組の男女の姿がドラゴニエール平原にて聖なる目にとどまったままのダルメキアの商人たちの目に飛び込んで来た―。

ちなみにカローンの提案でトルガルのおやつは回数が決められ。後々の彼女の助言でトルガル自身アンテロープ種の骨をしっかりと噛むようになっていき。
子どもたちはシャーリーの教室にて食べ物をなぜ粗末にしてはいけないのか授業で取り上げ食べ残しもなくなっていった。



・手と手


よく手を取り合うように、彼の手の甲にそっと重ねるようになった。
誰かに言われた訳ではない。シドの前で誓いを立てたあの日を除いたら
ふたりきりの時にそうすることが多くなった。

小さい時はとても寂しそうな小さな背中を見せていた君の手を取って連れて行くことに戸惑いはなかった。
成長するにつれてきょうだいの間柄とはいえジョシュアと違い血が繋がっていない。馴れ馴れしくするものではない。
今日の稽古を見届けてくれたことに感謝を伝えてからなるべく俺たちの気持ちが沈まないように明るく前向きになれるように話を続けようとして。もう今日は遅いから休んだ方が良いと促がした。
ジルはおやすみなさいとどこか寂しそうに微笑んで去っていく。
おやすみと、心の中で返した。

直接ではなかったとはいえ、剣を取り魔法を使って多くの命を奪った。
心の悲鳴を、悲しみを、謝ることも、痛みさえ押し殺しながら。
そうでないと誰かの命が奪われる。私はもう誰かの手を取れない。誰も私の手を取らないと。逃げ出すのも出来ないのだからせめてここで死のうとそれだけを考えていた。
あなたが生きていて。お互いに何があったか現実を知ってからは受け止めると手を重ねた。
彼もまた、望まない命令を果たす日々でそこから解かれたばかりなのに。
向き合わなければならない現実が押し寄せていた。

マザークリスタルが人を幸せにしていないヴァリスゼア大陸。
大部分の人たちは手を取り合わず、目の前にいるのは人なのに手を差し伸べることもなくただクリスタルにすがりつづけていた。
ずっとそれがこの大陸の“認識”であった。それを変えようとしているのだ。あちこちで戦争が起きていて、それでいて彼らは戦争をしに来た訳ではないのだ。
痛みと苦しみは同時に起こっている。石化が広がった―同時に因縁を断ったのだからこれからは人として立ち上がる戦いだ。
そうした時にも手を重ね合う。想いが伝わる。想いを伝える。あなたと、私と―。


ガブから声がかかり、ふと我に返った。己の手を握りしめ、その温かさは。君が人らしくなろうとしているという証。
まだ俺たちは歩み続けなければならない。俺たちの因縁の相手も残っているのだから。


この手が行なっていたことはあいつらの手の平でしかなかった。
それが真実だと突きつけられても彼女は彼の手を取る。


あなたの手を取る。あなたは昔からなにひとつ変わらないでいてくれたのだと。
あなたが人だから、いつだってだれかに目を向けて守ろうと救おうとしていたから…だからこそ私も人でいたい、そう思っていた。
白い君の手を取る。感謝と、敬愛と、愛おしさを込めて。
他でもない君だけなのだと。こうして俺の手を取ってくれるのも、手を取りたいと俺自身が願うのも。
口づけを送ると一瞬戸惑ったようでその意味を受け入れていき。涙と共に溢れてくる想いがそこにある。
そしてしっかりと俺の背中へ両腕を回してお互いの温かさを確かめ合う。

手と手を取り合ってそこから伝わる愛を注ぐ。
そうして、満たされていく。


・運ぶ
黒の一帯の中において自身のエーテルによりタイタンに顕現したフーゴによってシドが風の大陸の中に設けた隠れ家は壊滅した—。

同時にシドルファスはラムウの力ごとクライヴに自身の夢を託し亡くなる。
多くの仲間と帰る場所を失ったクライヴとジルを中心として風の大陸中央部同じく黒の一帯ベンヌ湖にて空の時代の飛空艇インビンシブルによりようやく立て直せる時まで来れたのだ。石の剣の彼らをベアラー保護活動の為に派遣し、外の商売はカローンや彼女がグツを連れて。諜報はガブが。そしてゴーチェやオットーが軸となり各地の協力者たちと密接に連絡を取り合っていた。
バードルフが拠点内をシドやカンタンから聞いていたアドヴァイスを元に彼の部下たちと共に暮らしていくには充分な施設も含めてよく改造してくれたものだとクライヴや拠点の皆が事あるごとに礼を述べていた。

見習い「あれ、おやっさん。この石碑って…」
見習いがアレテストーンを眺めながら尋ねる。
バードルフ「ん?シドの前のところでもあったやつだが…こんなデカいのわざわざあそこから運び出した奇特な奴がウチにいたか…?」
見習い「シド、誰が運び出したんでしょうかね」
クライヴ「言われて見れば…拠点に何を設えるかで常に頭が一杯で気づかなかったな」
とはいえ、召喚獣の力を―…今はラムウもこの身にある—受け継いだ以上ここで剣以外の訓練を行うには役立つのだ。トルガルも共に来てくれる。
顕現出来るのは今の段階ではジルだけであり、石化も含め彼女に負担がかかってしまう以上いつまでも頼り続けることなど到底出来ない。
クライヴ「俺以外には反応はしない。向こうから魔物が襲うこともない。
すまないがこのままにしておいてくれるか」
バードルフ「あまり気を背負いすぎるなよ」
見習い「皆、大将が支えであっても甘えるつもりもないっすから」
クライヴ「ああ。助かる」


タイタンの顕現後—。埋もれた拠点を見渡す理(ローブ姿)。
理(まったくミュトスが吸収する前に余計なことをしてくれたものだ…。我(We)がミュトスの為に用意したアレテストーンも埋もれているではないか)
理「眷属たちに運ばせるか」
ネクロフォビアや鉄巨人たちを呼び出して運ぶように命令する理。
せっせとアレテストーンを抱えながらインビンシブル内に人気がなく彼らが眠っている内に設置し颯爽と帰って行ったとか何とか。


※あちこちで理暗躍しているのがミュトスの為に、って考えようによっては舞台裏であれこれやっている黒子みたいですね(笑)

・手を繋ぐ


小さい頃から5つ下の弟は身体が生まれつき弱くて。
兄さんと違って何で僕は出来ないんだろうと言いだしそうなその表情(かお)から手を繋いで“俺が守るから”とそう伝わるように屋敷内の不死鳥の庭園を連れて歩き回る。
庭師たちやベアラーたちが水やりや肥料を欠かさずに育ててくれた草花はどれも綺麗で。
青空の下でまだ外に出る許可は下りなくてもふたりで見て回った。彼らに感謝の言葉を捧げながら。
クライヴ様とジョシュア様からありがたきお言葉、勿体ないですよと皆が微笑んでくれて。
ふたりで中庭に腰掛けて皆がこうして笑顔でいられるように俺たちが守って行こうと告げると。弟もかすかに微笑んで頷いてくれた。
物心つく前から母様からの期待―…いや、これは重圧であり枷だ。大きくのしかかるそれらを代わってやることは出来ない。その責任は俺自身にある。身体が弱いのに、ジョシュアはそれに応えようと必死で。
兄としての前にせめてもの。お前の盾になろう、そう決めたんだ。
ジョシュアに言い聞かせるようにすっと語ると。まだ小さな両手をぎゅっと握りしめて膝の上で拳を作り真剣に俺を見つける。そしてしっかりと今度は力強く頷いてくれた。

あの日に誓いと共にフェニックスの祝福を受ける儀式を受け。
ひとりバルコニーで弟の誓いから己の存在している意味を深思する俺の手をジョシュアは取って。そうしてかつて俺が連れ出したのと同じ様に手を繋いで父上の待つ王座へと引いていってくれた。
最も信頼しているナイトですとそうはっきり父上と騎士と兵士たちの前で宣言して。



来た時から礼儀正しかった。ただどこか寂しそうで、どこに焦点を当てて良いのかその視線が彷徨っているように感じた。
君が来てから庭園を3人で回るようになったが和平としてここに来たばかりのこともあり中には警戒している者もいた。
中傷というほどでは無いにしろ少なくも王妃側の王侯貴族たちからは無いことを噂されているとそう感じていた。母様本人からの当たりも厳しい。
俺が前に出て庇い立てると今度は俺に対して軽蔑の視線が飛ぶが、まだ慣れている方だ。幸いにして剣の修行や王侯貴族に与えられる課題を日々真面目にこなして来たかいもあり周囲の使用人たちは母様が去ってから大丈夫ですかと声を掛けてくれている。
これからは彼女もロザリアの一員だからなと父上の語る通り、緊張しなくて良い。何かあれば俺たちに言ってくれと伝えると静かに会釈はしたもののやはり居場所がないと思っていると彼女から感じた。
王侯貴族がロザリアの民とベアラーたちを全面に立って守ると決まっている以上俺たちは気軽には他国へと行けない。
あの場所にはあの花がある。抜け出すなら今しかない。
“一緒に見て欲しい場所があるんだ”
それだけを告げて君の手を取り。繋いだ手からずっと戸惑いを感じた。
…帰る頃にはきゅっと握られた細い指先から嬉しさと愛おしさを感じていた。

“ここにいて良いんだ”

それが伝わって、嬉しかった。

離れ離れになってからやっと会えて…願いが叶ったと。俺が生きている意味があるのだと君が告げてくれて。
帰ってくるという約束すら出来なかった子どもの頃とは違う。前に進むとふたりでシドルファスの前で手を取り合い。そうしてぎゅっと手を繋ぎながら誓った。

出会ってからはじめての。
そしてこれから幾度か訪れるふたりだけの約束の始まりだ。